面白さ

脚本も書いているジャームッシュは、ドンがその女たちとどのように出会い、なぜ別れたかということについてまったく説明しょうとしない。

しかし、言葉の切れ端によって、二人の関係、たとえば過ごした日々が楽しいものだったか、あまり憎み合うことなく別れたかなどといったことが、よくわかるようにはなっている。

かりにどのような友好的な気分が残っていたとしても、二十年前に別れた女の家を訪ねて居心地のいいはずがない。


その居心地の悪さが、この作品をある種のコメディーにしていると言ってもいい。

しかし、コメディーといっても、ジャームッシュの作品である。

嘆笑するようなシーンはなく、どちらかといえば常に微苦笑を浮かべながら見るということになる。

せいぜいが「クスッ」となるくらいだ。

女性訪問

旅に出たドンはまず露出癖のある娘を持つ女性のところに行く。

そこで、彼女は夫と死別していることを告げ、 一緒に食事していくことを勧める。

ドンはその誘いが嬉しいのか迷惑なのかを明らかにしないまま御馳走になり、その晩、彼女の家に泊めてもらうことになる。


これを手初めに、夫のある女、女の助手と暮らす女、いくらか年を食った「ヘルス・エンジェル」のような男たちと暮らしている女、とひとりずつ訪ねていく。

監督

ブロークン・フラワーズについて

出世作となった『ストレンジャー・ザン・パラダイス』をリアルタイムで見なかったため、以後の彼の作品に対して常に薄い壁があるように感じていた。

ビル・マーレイについても、それによってアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされることになる『ロスト・イン・トランスレーション』に嫌悪感を抱いてしまったために、やはり薄い膜によって隔てられるような感じがしてならない存在となっていた。

その二人の映画である。

初めからハードルが高かったが、やはり予想どおりの結果に終わった。

ならば、なぜ書くのか-実は、自分でもよくわからないのだ。

ただひとつわかっているのは、さして感動もしなかったが、なんとなく気になるところがあるということである。

ポーカーフェース

主人公ドンはいかにも気乗りしないように振る舞いながら、ウィンストンがアレンジしてくれた旅程に従って彼女たちに会うため大陸横断の旅に出るのだ。

何を求めての旅かよくわからないままに。


ポーカー・フェイスの演技に独特なものを感じるが、素晴らしい演技だったと褒めたたえるほどではない。

少なくとも、私がここ数カ月の間に見た映画の中で、際立って優れた映画だとは思わなかった。

だからといって、この映画がつまらない作品だと言いたいのではない。

要するに、私にとって相性よくなかっただけの話なのだ。


もっとも、これが私にとって相性のよくない映画であることはわかっていた。

主人公の旅

主人公ドンはいかにも気乗りしないように振る舞いながら、ウィンストンがアレンジしてくれた旅程に従って彼女たちに会うため大陸横断の旅に出るのだ。

何を求めての旅かよくわからないままに。


この作品の監督はジム・ジャームッシュであり、ドンを演じているのはビル・マーレイである。


ところで、おまえがここでこの作品について書こうとしているのは映画として素晴らしかったからか。

もし、そう問われれば、答えは「ノー」である。

悪くはないが激しく心を動かされたというほどではない。

ならば、ジム・ジャームッシュの演出に特筆すべき冴えがあったからか- その答えも「ノー」である。


省略をきかしたストーリーの運び方に酒落た印象を受けるが、なんと鮮やかなと声を上げるほどではない。

とすれば、ビル・マーレイの演技に惹かれたのか-いや、その答えも「ノー」である。

女性たち

ドンが、わずかに外界とつながっていられるのは隣家のウィンストン一家のおかげだ。

料理上手の妻が食事に招かれ、気のいい夫がいろいろ話し相手になってくれる。


愛人が去った翌日、ドンは、ウインストンに、配達されてきた一通の手紙を見せる。

そこには「あなたにはわたしとの間に十九歳の息子がいる。彼は父親を捜すため旅に出た」とあった。

差出人の名前はなく、消印もぼやけている。

どこから誰が出したのかわからない。


すると、ウィンストンが可能性のある女をリストアップしろと言う。

ドンが五人の名前を書いたリストを渡すと、探偵ゴツコが趣味のウィンストンが五人の所在を調べ上げる。

ひとりはすでに死亡し、残りは四人。


ウィンストンはドンに、彼女たちをひとりひとり訪ねて、誰の息子かを確かめろと勧める。

主人公

この映画の主人公ドン・ジョンストンはそんな中年男性のひとりだ。

コンピュータ関係の仕事で「ひとやま」当て、将来にわたって、生活に困らないという以上の金を稼いでしまった。


昔から「艶福家」として自他共に認めていたが、年齢を重ねるに従って、かつてのドン・フアンの面影も失せつつある。

そして、いままさに、年下の愛人が「あなたには家庭を作ろうという気がない」と怒りをぶつけて、家を出て行ったところだ。

「行くな」と言えば、彼女もとどまったかもしれない。


しかし、ドンはひとことも発っしないまま、去らせてしまう。


広い家の現代的な内装のリビングルームで、ソファーに座ってテレビを見たり、寝そべったまま眠ん込んだりして、荘然と時を過ごすようになる。

結婚

中年になると、多くの人に、人生の歩みの中でふと足を止め、遠くに眼をやるようなことが起こっている。

望んでその場所にたどり着いた人も、単に結果としてそこにたどり着いてしまった人も、さてここからどこへ行こうと戸惑うことがあるように思う。


もし、彼らが結婚していて子供がいたりすれば、そこから先の選択肢はかなり狭く、逆に迷いも少ないかもしれない。

しかし、結婚もせずに、子供もいないとしたら、「さてこれからどこへ行こう」という戸惑いは深いものになるだろう。

中年危機

「ブロークン・フラワーズ」、2005年アメリカ映画/1時間46分


中年というのが、いったいいくつからいくつくらいまでをさすのかよくわからない。

しかしかりに、それを四十代から五十代とするなら、「中年の危機」という言葉は、四、五十代の男性の危機と言い直すことができる。

中年には男性だけでなく、女性もいるはずだが、なぜか「中年の危機」は男性に訪れるものとされている。


たぶん、人生における危機には二つの種類があるのだろう。

ひとつは、健康を害したり、職を失ったり、親族が不運に見舞われたりと、その人をめぐる状況が明瞭に悪化することによってもたらされる「具体的な危機」である。

そしてもうひとつは、特に何が悪くなっているか定かでないまま、精神的にじわじわと追い詰められていくことによってもたらされる「不可視の危機」である。

「中年の危機」というとき、多くはぽんやりとした不安や苛立ちを伴う「不可視の危機」を意味するように思われる。


もちろん、中年男性の誰もが危機に見舞われるわけでもない。

かりに見舞われたとしても、それは「中年の危機」一般に解消されるものではない。

危機は、ひとりひとり固有のものとして存在するはずなのだ。

童貞ペンギン

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皇帝ペンギンのパロディ。
最近借りました。

もっと、会話している感じが出ていればよかったんですが、
ツメが甘い感じでしたが、慣れれば楽しめます。

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