「幻の息子」
特別にほしい物はない。
もうどのようになりたいという願望もない。
もし、具体的な困難が押し寄せて来ているのなら、それに立ち向かうことで時間はつぶせる。
しかし、何をしたらいいのか、何をすべきなのか。
わからないまま、ただ途方に暮れるしかない。
だから、ドンは、ウィンストンの「作戦」に乗り、「幻の息子」を求める旅をしたのだ。
「血縁」なるものが何かをもたらしてくれるかもしれないというわずかな期待を抱きつつ。
しかし、それもまた、彼をさらに途方に暮れさせるものでしかなかった。
恐らく、私が気になったのは、その途方に暮れた姿が、決してドンだけのものではないと感じられたからだろう。